top of page
  • ryee62

Issue 104: HR Tech for Change Management Innovation - Part 2

今回のSeattle Watchは、"HR Tech for Change Management Innovation"のレポートの後編です。先の見えない時代に適応できる人材を育てる上で、HR(人事)には何が求められているのでしょうか?


現在の新型肺炎が広がる状況を見ていると、私たちは、数か月先の将来すら見通すことができない時代を生きているのだと感じます。仕事自体もそうです。Dell Technologiesは、10年後の2030年の職種のうち85%が未だに存在していない職種であると予測しています。このような先が読めない時代において、常に新しい知識やスキルを手に入れ続ける能⼒が、より重要視され、価値を持つようになってきているのです。それに伴って人事(HR)に求められる役割も変わってきます。従業員の知識やスキルの習得をいかにサポートできるかが、今後ますます重要になってくるでしょう。 The Future-Proof Workplaceという書籍の著者であるLinda Sharkey博⼠は、従業員の適応能力を高めるためには、これまでの学習モデルを変える必要があると述べています。Webrainでは、これからのトレーニングは、新人研修のように誰もが同じペースで同じ学び方を行う手法から、早い学習サイクルの中でより自分に合った学び方を選択できる手法へとシフトしていくと考えています。人事(HR)は、この新しい学習モデルを従業員に対して提供しつつ、常に従業員のそばに寄り添って育てていく存在へと変わっていく必要があるでしょう。以下では、それを実践しているいくつかの事例を紹介しています。 大手ホームセンターのHome Depotでは、Orange Methodと呼ばれる独自の手法を開発して、技術経験の少ない従業員が技術職にキャリアチェンジできる取り組みを行っています。この取り組みでは、テキストを使った学びのほかに、Pluralsight社の動画学習ツール、実際の講師によるライブ授業や実践演習などの幅広い学び方を提供しているのです。一人ひとりが自由に学び方を選択できることが、従業員の迅速なスキルの習得につながっています。またスポーツメーカーのAdidasでは、トップアスリートへのパフォーマンス管理の手法を採用して、従業員のパフォーマンスに対してリアルタイムのフィードバックを提供できる社内アプリを開発しています。つまり、テクノロジーを使用して早い学習サイクルを実現することで、従業員はより速く成長することができるのです。 先の読めない時代の中で、適応能力に優れた従業員を育てるには、テクノロジーを活用した学びの環境を提供することが不可欠になってきています。そしてHR(人事)の担当者自身もテクノロジーについて学び、適応しなくてはいけないように感じます。 さらに、興味深いことにミレニアム世代の従業員は新しい経験や知識を得ることに対してより高い価値を見い出しています。PwCが同世代の従業員に行った調査によると、35%もの人が優れた研修やトレーニング制度は企業の魅力を高めると回答しています。つまり、労働力の中核となりつつあるミレニアル世代(1981年~1995年生まれ)、さらには労働市場に入り始めたZ世代(1996年~2012年生まれ)の人たちに対する深い理解とその要望に応えられるような仕組み作りが、これからのHR(人事)には必要になってくるのではないでしょうか。

 

<従業員に対してパーソナルで迅速な学びを提供しているプレイヤー> Pluralsight (https://www.pluralsight.com/) Pluralsightは、ITスキルの学習プラットフォームを提供している。開発、IT オペレーション実務、さらにセキュリティーなどの幅広い分野を網羅しており、Skill IQと呼ばれる機能では、学習者のITスキルを簡単なアセスメントで正確に評価することができる。学習者はアセスメントの結果に基づいて学習カリキュラムをパーソナライズすることで、⾃分のペースで新しいITスキルを⾝に着けることができる。 ADP (https://www.adp.com/what-we-offer/products/standout.aspx) ADP が提供しているStandOut は、1対1のコーチング、個人の強みに焦点を当てた教育手法、そしてアジャイル開発の考え方を組み合わせたタレント活性化プラットフォームである。この製品では、チームリーダーに対して1週間に1回という早いサイクルで各メンバーにコーチングを行うことを促すことで、より生産性の高いチームをつくることを支援している。 PageUphttps://www.pageuppeople.us/products/learning/ PageUpは、Everyday Learningと呼ばれる従業員向けの学習アプリを提供している。同社は、ソーシャルラーニング(SNSなどのソーシャルメディアをツールとして活用する学習)を推奨しており、いつでもどこでも学ぶ文化を企業に醸成することを支援している。このアプリは、PageUpが提供する他の人事システムとも連動しており、管理者は従業員の職種に応じて必要な学習を自動でアサインできる。

最新記事

すべて表示

SW 211 - Webrain Report のご紹介

今回のSeattle Watchでは、弊社が提供しているサービスの1つであるWebrain Reportについて紹介するとともに、そのレポートの内容をより掴んでいただくために、過去のレポートの抜粋版を特別に皆さまに無償でご提供することにしています。ご興味ある方はお申込みください。 世界では、指数関数的なテクノロジーの進化が続いています。Intelの創業者の一人であるゴードン・ムーア氏が1965年に

SW 210 - シアトルで台頭するキッチンテック

今回のSeattle Watchでは、先月シアトルで開催されたSmart Kitchen Summit(SKS)について紹介していきます。前回は、生成AIによる自律的な協働ロボットの進化について紹介しましたが、こうした自動化の流れが私たちにより身近な場所であるキッチンにも来ようとしています。 シアトルで有名な産業と言われて、すぐに思い浮かぶのは、Boeingの航空宇宙産業、MicrosoftやAm

SW 209 - 生成AIがロボット産業に与える影響

今回のSeattle Watchでは、より自律的なCobot(協働ロボット)の進化について紹介していきます。 生成AIの後押しを受けて、Teslaが開発するOptimus(二足歩行の人型ロボット)に代表されるような汎用ロボットの開発が進んでいます。今後、こうした汎用ロボットは工場や倉庫などの現場の中にますます入っていくことが予測されており、人間の作業者は彼らと信頼関係を築きながら、より安全で生産性

bottom of page