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  • Hideya Tanaka

Issue 171 - 2022年のSeattle Watchハイライト

いつもSeattle Watchをお読みいただきありがとうございます。今回のSeattle Watchが2022年最後の発行となります。今年はようやく海外渡航の規制緩和が進み、多くの皆さまとシアトルにて直接お会いすることができました。来年もプログラムの内容をさらに充実させて、皆さまにより洗練されたビジネスインテリジェンスをお届けできるように努めてまいります。

 

今回は2022年にお送りしたSeattle Watchのハイライトを通じて、今年どのようなビジネストレンドやテクノロジーが台頭してきたかについて振り返りをしたいと思います。なお、タイトルリンクから各記事の全文をご覧いただけますので、もし見逃した記事があればご確認ください。


最も関心が高かった記事TOP3


EV(電気自動車)の普及に伴い、ますます需要が高まっているバッテリー技術を巡り、多くの国や企業がその覇権をめぐる戦いを繰り広げています。特に期待が高まっている全個体電池の領域において、日本は技術的にも特許の数でも一歩リードしており、米中韓の猛追から逃げ切れるか注目されています。

中国発のWeChatやインドネシア発のGojekに代表されるスーパーアプリがアジア圏で急拡大しています。最近では、Twitterを買収したElon Musk氏がEverything App(万能アプリ)を構想したり、Microsoft もさまざまな機能を盛り込んだスーパーアプリを検討したりするなど、もともとは欧米で発明されたサービスがアジアで新しい発展を遂げて、欧米に逆輸入されるという現象が起きています。

スポーツテクノロジーは、競技における計測や判定、また選手のトレーニングだけでなく、スポーツファンのエンゲージメントや体験を高めることにも積極的に活用されるようになっています。米国では、スポーツベッティングが合法化されて市場が急拡大するなど、試合が行われていない時間や場所でファンとの接点を構築して、ファン体験を高めようとする動きが進んでいます。


その他の注目記事

1月発行のSeattle Watchでは、「民主主義の後退」という近年の大きな潮流と、民主主義のアップデートを支援するテクノロジーについて紹介しました。2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は、今後の世界を占う意味でも注目されており、ロシアや中国をはじめとする権威主義が強くなるのか、それとも米国やEUを中心とする民主主義を再構築する動きが強くなるのかという視点でも興味深いところです。

5月発行のSeattle Watchでは、動画配信市場における「サブスク疲れ」の実態と急速に広がるAVODやFASTと呼ばれる広告型動画配信サービスについて紹介しました。11月に入ってNetflixが広告付き月額プランの提供を開始するなど、動画配信事業のビジネスモデルが多様化しつつあります。米国では11月時点で、Disney+が全体の契約者の44%、Huluでは57%が広告付きプランを選んでおり、今後のNetflixの変化に注目が集まります。 https://economictimes.indiatimes.com/tech/technology/netflixs-basic-with-ads-streaming-plan-gets-slow-start-report/articleshow/96405073.cms


7月発行のSeattle Watchでは、Appleのプライバシー強化の動きとブランド価値との関係性について紹介しました。12月に入ってからも暗号化によるiCloudの高度なデータ保護の提供を発表するなど、近年のAppleは「プライバシー意識の高いブランド」というイメージを確立して、それをブランディングに転化させる知財戦略を取っていると考えられます。また、デジタルプライバシーに対する考え方は、自己情報のコントロールという方向にシフトしつつあり、プライバシーの考え方やその範囲が以前よりも広がってきています。

9月発行のSeattle Watchでは、次世代の分散型インターネットと呼ばれるWeb3に関連して、DAO(分散型自律組織)と呼ばれる新しい組織の在り方について紹介しました。今後DAOが普及すれば、私たちの働き方は、企業に所属する従来の組織ベースの活動に加えて、興味のあるプロジェクトに自由に参加して自分の強みを生かしながら貢献するプロジェクトベースの働き方へと変わっていく可能性があります。

10月発行のSeattle Watchでは、アパレル市場におけるリ・コマース(Re-commerce)と呼ばれる動きについて紹介しました。中古品をオンラインを中心に取引するリ・コマースの高まりは、社会課題への関心が高く価格にも敏感な若い世代の価値観を大きく反映しており、アップサイクリング(創造的再利用)の動きとともに今後さらに広がりを見せることが予測されています。

 

Seattle Watchを読んだ感想やコメント、さらに詳しく知りたいなどのリクエストがあればいつでもお待ちしております。こちらのメールにご連絡ください。2023年も皆さまにとって素晴らしい一年になりますことをWebrainチーム一同願っております。それでは、少し早いですが、どうぞ良いお年をお迎えください。





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