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  • Hideya Tanaka

Issue 152 - The Augmented Worker: Wearable Robotics Part 1

今回と次回のシアトルウォッチでは、「The Augmented Worker: Wearable Robotics」というタイトルのWebrain Reportの概要を紹介したいと思います。前編にあたる今回は、パワードスーツやアシストスーツとも呼ばれるエクソスケルトン(外骨格デバイス)の歴史とこの市場の現状について考察していきます。将来、映画「エイリアン2」の中で主人公のリプリーが操作したパワーローダーを、先進的な工場や軍隊で見かけるような時代が来るかもしれません。

 

パワードスーツの起源は実はかなり古く、語源は米国のSF作家であるロバート・A・ハインライン氏が1959年に発表した「宇宙の戦士」と呼ばれるSF小説にまで遡ります。この小説に出てくるパワードスーツは日本の名作アニメである「機動戦士ガンダム」のメカニカルデザインに影響を与えたことでも有名です。そして、このコンセプトを最初に実現したのがGEが1968年に発表したHardimanと呼ばれる油圧と電気を用いたマシンでした。このパワードスーツは、500ポンド(約680kg)の物体を持ち上げられるパワーをもつエクソスケルトン(外骨格デバイス)でしたが、あくまで未来のビジョンとみなされて実用化には至りませんでした。

https://www.gereports.jp/hardiman-strikes-back/


GEのエンジニアとしてこのHardimanを開発したRalph Mosher氏は、「人間とマシンを密接な共生関係の下で組み合わせ、一体化したシステムとして機能させる」という将来像を今から50年も前に描いていました。その先見性は非常に興味深く映ります。しかし、当時のパワードスーツは「人間がマシンに搭乗して操作する」という形であり、「人間が装着して自身の能力を増強・補強する」という現在のパワードスーツとは、人間とマシンの関係性が異なっていたことにも目を向けておく必要があります。


エクソスケルトン(外骨格デバイス)の世界市場は、年間平均成長率18.1%で成長しており、2021年の23億ドルから2026年には52億8,000万ドルに達すると予測されています。重い荷物を持ち上げたり、無理な姿勢で作業をすることで生じる腰痛などの筋骨格系の障がいを予防するという製造業や物流、建設業さらには農業などの分野でのニーズだけでなく、身体障がいを抱える患者のリハビリや自律的な活動の支援という医療・ヘルスケア分野でのニーズが高まってることが、この市場の成長を支えています。

https://www.prnewswire.com/news-releases/the-worldwide-exoskeleton-industry-is-expected-to-reach-5-billion-by-2026-301476390.html


例えばEkso Bionicsは、EksoWorksというブランドでEVOと呼ばれる電力不要の上半身用の外骨格デバイスを開発しています。この製品は、自動車の製造ラインなどでよく見られる頭上を流れる車体に部品を取り付ける作業を支援することで、首、肩、背中の怪我や疲労を軽減することが目的です。同社は、EksoHealthという別のブランドでEskoNRと呼ばれる歩行リハビリ用の外骨格デバイスも開発しています。

https://eksobionics.com/


これまで、エクソスケルトンは技術的な制限やコストの問題によって普及が進んでいませんでしたが、近年ではAIを駆使して外骨格デバイスの動作をより装着者の自然な体の動きに合わせるセンシング機能の発展や、高度な技術を使用しないより簡易で安価なエクソスケルトンの登場により、これらの課題も改善しつつあります。


もちろ外骨格デバイスはあくまでツールにしか過ぎず、人間工学の観点から現場の環境や作業工程をホリスティクスに見直すことが先決ですが、人手不足や高齢化が進む社会において、人間の身体負荷を軽減したり、能力を増強するエクソスケルトンは、人間を中心とした製造現場の実現や人間らしさの維持を可能にして、私たちのライフワークバランスをより豊かなものにしてくれるのではないでしょうか。

 

<エクソスケルトンを開発する企業>

Verve Motion (https://vervemotion.com)

Verse Motionは、ロボット工学、アパレルデザイン、運動科学の専門性を有するウェアラブルロボティクス企業。同社は産業向けにSafeLiftと呼ばれる軽量の外骨格スーツを開発しており、同製品はリアルタイムで検知した作業者の動きに合わせてAIが外骨格スーツによる補助を調整することで、腰への負担を30〜40%削減することができる。

Noonee (https://www.noonee.com)

Nooneeはウェアラブルメカトロニクスを開発する企業で、腰、大腿部、足部に装着するパッシブ型の下半身外骨格デバイスであるChairless Chairを提供している。同製品は装着したパッドから2本の脚を展開することができ、それが椅子の役割を果たすことで、長時間の立ち仕事の際に作業者のストレスを軽減する。

Innophys (https://innophys.jp)

Innophysは、高齢者介護、製造、倉庫、農業などの分野で肉体労働を減らすためのウェアラブル・ロボティクスのソリューションを開発する企業。同社は、空気圧を用いたMcKibben型人工筋肉を搭載したMuscle Suitと呼ばれる外骨格デバイスを提供しており、重いものを持ち上げるときの腰の補助に特化したMuscle Suit Every、長時間の腕上げ作業を支援するGS-ARM、そして重量物を取り扱うときに腕と腰の両方を補助するMuscle Upperの3つのモデルがある。




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