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Webrain Reports Archive

#230 - Beyond Five Senses

人間の感覚は、一般的には視覚、味覚、触覚、聴覚、嗅覚の五つの感覚に分類されている。しかし、近年では私たちの感覚は五感よりも複雑で、より細かく分類可能な感覚の集合体であることが分かってきている。人間の感覚がいくつ存在しているのかについては意見が分かれているが、その数は、20個前後という説もあれば、70個以上あるという説もある。これらの感覚には、暑さや寒さを感知する「温度感覚」や、自分の体のバランスや位置を把握する「自己受容感覚」、また時間の経過を認識する「時間感覚」などが含まれている。その中でも、今回のレポートでWebrainが特に着目したのは内受容感覚(Interoception)と呼ばれる感覚である。この感覚は、脳が身体内部の状態を理解するための感覚の集合体で、心肺系や消化器系などの身体の内部をモニタリングして、異常が生じたときに警告を発する仕組みである。内受容感覚は、不安、うつ、PTSD(心的外傷後ストレス障がい)、ADHD(注意欠如・多動症)、OCD(強迫性障がい)、そして摂食障がいなどの症状にも関連していることが最近の研究で分かってきており、内受容感覚をトレーニングすることで、これらの症状を緩和しようとする取り組みも始まっている。この他にも、本レポートでは、発達障がいや精神疾患をもつ人たちとの共生などにおけるニューロダイバーシティー(神経多様性)やマルチセンサリーエクスペリエンス(多感覚体験)といった人間の感覚に関連するさまざまなトピックを紹介している。Webrainでは、人間の感覚に対する理解を深めることは、ウェルビーイングやメンタルヘルスといった観点だけではなく、新商品の開発や顧客体験、さらに職場における従業員体験の最大化という観点でも重要になってくると考えている。

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