Seattle Watch

今回は「The Future of Connected Economy: 5G and Beyond」というタイトルのレポートの紹介になります。50年の経済サイクルというマクロ視点からモバイル通信の世界を見たとき、5Gやその先の6G技術は私たちの生活をどのように変革していくのでしょうか?

Issue 128 The Future of Connected Economy: 5G and Beyond - Part 1

皆さんは予言と聞くと何を想像されますか?一昔前の話になりますが70年代にこの言葉で一世を風靡したのが「ノストラダムスの大予言」という五島勉氏の著書で、1999年の7の月に恐怖の大王が空から降ってきて人類が滅亡するというセンセーショナルな提言でベストセラーになりました。実際この予言は外れましたが、最近のハフポストの日本語版では、5年後の2004年に五島さんへインタビューをしており、新型コロナのパンデミックを予測していたという記事が掲載されています。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/gotouben_jp_5f1fbc6ac5b6945e6e3ef8a2

 

さらにもうひとつ興味深い記事を紹介すると、世界保健機構(WHO)が30年前の1990年5月2日に2020年に人類の半数が伝染病にかかるという発表をしていたのです。そのニュースを岐阜新聞では朝刊で1面トップで紹介しています。このように過去を振り返ると思い当たる節があるというのは良くあることですが、テクノロジーの革新とグローバライゼーションの普及で爆発的な成長を遂げていた世界経済が感染症予防のロックダウンで隣の人にも気軽に会えなくなる社会を誰が想像できたでしょうか?
https://www.asahi.com/articles/ASN85457RN7YOHGB00N.html 

 

まさに一寸先は闇とも言える日常に面している現在ですが、ビジネスの世界では常に先を予測して準備をしなければ生き残っていけないのも事実です。コンピューターの世界でその予測に大きな影響を及ぼしたのが「ムーアの法則」です。インテルの創設者であるゴードン・ムーア氏がインテルを設立する前の1965年に発表した論文で、半導体の集積率が18カ月で2倍になるという集積回路の進化の傾向を予測したこの法則は、現在の巨大なコンピューター産業の礎と言っても過言ではないでしょう。

 

モバイル通信の世界でも、5Gという言葉に使われているGの表記(Generation)が進化の動きに当たります。これまでの通信技術の開発スピードは1世代10年と言われており、2020年代が第5世代(5G)と呼ばれるモバイル通信の幕開けになると言われています。

 

当然のことながらこの5Gの技術は、一般の人々が耳にするずっと前から開発が始まっていました。Webrainが5Gについて最初に言及したのは2016年の3月のレポートです。我々は、このような世代の交代が10年から50年という長期的な変遷で起こることを「Secular Change(長期変化)」と呼び、マクロ経済の観点からも特に注目して情報を収集してきました。

一例を挙げると米国では約50年の大きなサイクルで経済を牽引する産業が変わってきています。1770年代後半に英国を中心に起こった第1次産業革命で「機械の時代」が始まり、それが1820年代に「鉄鋼や鉄道の時代」へと変わり、その後1870年代から「電気の時代」が訪れます。さらに1910年代から「自動車の時代」が始まり、1960年代にコンピューターをベースにした「情報の時代」が幕を開けました。そして2010年からは人間の脳の仕組みを応用した「ニューロテクノロジーの時代」が始まるとされてきました。これは技術系の非営利団体で未来予測を行っているLifeboat Foundationの2008年の分析ですが、昨今のAI関連のニュースを見るとこの予測は当たっているように思えます。
https://lifeboat.com

 

このような背景から、今回レポートでも単に5Gだけでなく、その先の通信技術の方向性にも触れています。約10年前から現在まで我々が慣れ親しんでいる4GやLTEでの通信が利用可能になった時、5Gに関する情報がどこまで一般的に注目されていたかは分かりませんが、次世代の6G技術についてはいくつかの企業、大学、それに研究機関が研究を進め実際に将来のイメージを紹介しており、今回のレポートでもモバイル技術先進国のフィンランドのOulu大学が発表している「6G vision for 2030」という講演を紹介し、6Gが可能にする未来社会を描いています。https://www.youtube.com/watch?v=T6ubRoZCeVw

 

私が好きな言葉に「温故知新」という故事成語がありますが、ビジネスにおいても故きを温ねて新しきを知ることはとても大切な発想だと思います。皆さんも今回のレポートをヒントに5Gモバイルサービスの未来を、これまでの携帯の歴史を振り返りながら、全てがモバイルで完結する新しい社会のイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか?


Toshiro Akashi, Editorial Team

<5G/6Gの技術普及を目指すプレーヤー>
 

5G Open Innovation Lab (
https://5goilab.com)
シアトルに拠点を置く5G Open Innovation Labは、開発者、企業、通信キャリア、技術リーダー、学術関係者、政府機関を集めて、スタートアップ企業と協力して5Gを活用した機能、ユースケース、そして市場カテゴリーの拡張を推進している。開発者は、5Gのための新しいシナリオやアプリケーションの作成、テスト、導入に役立つオープンプラットフォーム、企業、そして市場にあらゆる開発段階でアクセスすることができる。5G Open Innovation Labは、製造業、輸送や物流、自律走行車両、エネルギー・ユーティリティー、メディア・エンターテイメント、宇宙衛星、小売、農業などさまざまな産業に重点を置いている。
 

University of Oulu (
https://www.oulu.fi/university)
フィンランドのOulu Universityは、学術研究と6G Flagshipというイニシアティブを通じて、6Gコネクティビティーを実現するための技術開発の最前線に立っている。同大学は既に、6Gに関する複数の博士論文を発表している。また、共同研究者向けのオープンな技術とサービス開発プラットフォーム、IoTアプリケーションを備えたセンサーネットワーク、ビジネス・アクセラレーション、さらに5G無線通信のプロトタイプの制作などを提供するイノベーションプラットフォームである5G Test Network (5GTN)の管理も行っている。Oulu UniversityはNokiaと共同で、5Gに関する複数の研究開発プロジェクトを既に実施している。
 

NYU Wireless (
https://www.oulu.fi/6gflagship/)
NYU Wirelessは、New York UniversityのTandon School of Engineeringにあるワイヤレス通信、センシング、ネットワーキング、デバイスの学術研究センターである。同団体では、産業界の関連スポンサーと学生や教員を結びつけ、両者が協力して巨大な市場で実現可能な未来のワイヤレスデバイスのための基礎知識、理論、技術を創造することを目標としている。現在の研究内容には、テラヘルツ通信とセンシング、モバイルでのエッジ・ネットワーキングとコンピューティング、ミリ波帯(mmWave)、テラヘルツ帯(THz)、量子ナノデバイス、5Gと6Gアプリケーション(ロボティクス、UAV、自律走行車両など)、機械学習、通信基盤、6Gテストベッドなどが含まれている。

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