Webrain Reports

1999年以来、私たちはビジネストレンドや最先端技術の動向を詳細に調査しています。1年後から2年後の未来を見据え、これらのテクノロジーが企業や消費者だけでなく、産業全体、社会、そして私たちの日常生活にどのような影響を与えてくるのかを分析しています。弊社が提供するWebrain Reportは、他の業界レポートとは異なり、社会現象、ムーブメント、そして人間の行動に関する独自の分析と解釈を各レポートに反映させ、そのトピックについて、より深く、より抽象的な視点を読者に提供するよう心掛けています。

下記に最近のWebrain Reportのトピックをご紹介します。弊社のレポートが提供する独自の分析と視点にご興味がある方はご連絡ください。

 
 
 

#216 – Sales Tech: Data-enabled Trusted Engagement​

 

どんなに優れた商品があっても、その商品を上手く売ることができなければ会社は成功しない。営業部門は、大切な顧客との接点を持つと同時に企業の収益を支えている。営業がなければ会社は成り立たないのである。これまで人と人との対面でのコミュニケーションに頼ってきた営業部門が、継続してより多くの見込み客と接し、より多くの商談をまとめ、より多くの売上を確保するためには、どうすれば良いのだろうか? セールステックは全く新しい考え方ではなく、既に2つの種類のツールが主流になっている。1つは、繰り返しで手間の掛かるタスクを自動化することで営業担当者の負担を減らし、商談の成立に集中させるセールス・アクセラレーション、もう1つは、セールス活動でパーソナライズされた人間的な接し方を可能にするためのツールで、顧客との高い信頼関係や相互理解を醸成するためのセールス・イネーブルメントと呼ばれるツールである。このレポートでは、他にもソーシャルメディアのチャネルを使って顧客と接し、顧客についての理解を支援するソーシャル・セリング、高度にパーソナライズされた自動対話によって、初期段階の見込み客とのエンゲージメントを高めるAIチャットボット、そして、パーソナライズされたトレーニングによって営業担当者の販売スキルを最適化するセールス・コーチングについても解説する。

#215 - Edible Intelligence: Data-driven AgriFood Revolution

世界人口は増加を続けており、2024年には80億人に達すると予測されているが、その一方で、食料の栽培や生産に利用できる耕地は減少しており、過去45年間で3分の1も減っている。私たちは今後より少ない天然資源でより多くの人々に食料を供給しなければいけない。幸いなことにテクノロジーは、食糧生産のプロセス全体をより効率的に、より迅速に、そしてより安価にする新しいツールを私たちに提供しようとしている。このレポートでは次の5つの分野でテクノロジーの役割を見ていく。それらは、農地での生産性を向上させる「ファーミング・インテリジェンス」、冷凍技術、選別・保存システムを含む「フード・プロセシング・インテリジェンス」、サプライチェーンの各段階で食糧廃棄物を最小限に抑える「フード・サプライチェーン・インテリジェンス」、健康な食品の味を最適化する「フレーバー・インテリジェンス」、そして全ての工程を効率化させる「オペレーション・インテリジェンス」である。また、食べ物と私たちのDNAの関係を理解するための研究が進んでおり、人間の遺伝子が栄養素にどのように反応するかを研究するニュートリジェネティクス(栄養遺伝学)や、栄養素が人間の遺伝子にどのような影響を与えるかを研究するニュートリゲノミクス(栄養ゲノム学)についても触れ、データ指向のテクノロジーが、世界の食糧問題をどのように解決していくかを見ていく。

#214 – The New Normal: The Social Distancing Economy

2020年に世界中で流行したコロナウィルスは、人々の働き方や関わり方を一変させてしまった。ソーシャルディスタンシングがウイルスの拡散防止のための有効な対処法として導入された結果、周りの人との接し方から世界経済の運用に至るまで、あらゆるものに大きな影響を与えている。そして、非常に短い期間に多くの人々が在宅勤務という新しい生活様式への適応を迫られる中で、これまで当たり前とされてきたビジネスが根本的に変化しようとしているのである。リモートワーク、リモートセールス、バーチャルイベントプラットフォーム、リモートエンターテイメント、そしてリモート学習といった新しい技術が、この危機的状況を乗り越えるための効果的な方法を数多く提供してくれている。このように、大きな災害をきっかけに一時的にROIやプライバシーを犠牲にしてでも、私たちの命や生活を支える新しい製品やサービスが普及する現象は、「災害資本主義 - Disaster Capitalism」と呼ばれる。今回のレポートでは、The New Normal: The Social Distancing Economyというタイトルで、 この実験の初期段階において、新しい技術ソリューションがどのように私たちの仕事や生活を支えているかを紹介する。

#213 – Digital Mindfulness: Mental Health Technology

 

人間は、ストレスが溜まるような状況ではポジティブな出来事よりもネガティブな出来事に注目する傾向があることが研究によって明らかになっている。つまり、悪い方向に事が進むことに気を取られ、目の前に起きている良い出来事を見落としてしまう自然な傾向がある。米国では人口の18%以上が不安障がいを抱えていると言われており、世界保健機関(WHO)では、脳の不全に関する世界の経済損失(ヘルスケア出費や職場の生産性の低下や家族への影響など)が2030年までに6兆ドルになると予測している。しかし、セラピストたちが深刻な人手不足に陥っていることを考えると、これだけ多くの人を伝統的なセラピーで治療するには物理的な限界がある。幸いなことに、この需給ギャップを埋めてより多くの人々にメンタルヘルスの治療を提供することを可能にする多くの技術的なソリューションが登場している。ある調査では、「スマートフォンの技術がビヘイビア・ヘルスケア(行動保健学:毎日の行動パターンを変え、病気を予防し、健康を維持するという考え方)を患者にとって、より利用し易く、効果的で、対話型に変える可能性があり、エビデンスに基づいた治療の普及を促進するだろう。」と分析している。今回のレポートでは、Digital Mindfulness: Mental Health Technologyというタイトルで、安定した心の状態を保つためにテクノロジーがどのように利用されているかを考察する。

#212 – Innovative Education/Training with AI Technology

 

人工知能(AI)は、様々な産業において広く利用されるツールとして成長しているが、教育産業においてのAI の進歩はまだあまり知られてない。AIを活用した教育ツールは急速に普及しており、一般的には次の3つのカテゴリーに分類される。1.AIが反復的な業務を代行することで、教師の自由な時間を増やし、生徒と直接対話できる時間を確保する「スマートコンテンツ」、2.生徒一人ひとりの学習ニーズに合わせて教材をカスタマイズする「インテリジェント・チュータリング・システム(またはアダプティブ・ラーニング)」、3.生徒にバーチャルなインターフェースを使った環境を提供する「バーチャル・ファシリテーター」や「バーチャル学習環境」。教育の現場に技術的なツールを採用する場合に議論の中心となるのが、生徒の学びの過程においてどのような種類の能力をそのツールによって習得することができるのかを理解することである。数学や空間処理能力などの認知スキルは、テクノロジーの創造や活用と深く関連しており、AIツールを採用しやすい。しかし、非認知スキルであるサービススキルや社会的スキル、そして非定型的な推論を含むスキルはどうだろうか?テクノロジーはこの非認知スキルの習得までカバーをし始めてる。今回のレポートではAIを使った革新的な教育やトレーニングに焦点を当て、教育産業におけるAIの現状と将来の方向性について分析する。

#211 – The Emergence of Civic Tech

スマートシティーの概念は何十年も前から構想されてきた。Webrainは2018年のレポートの中で、スマートシティーの傘の下で議論されている多くの要素が、実際には市民のニーズや期待に迅速に対応(レスポンシブ)できる街を作るという究極の目標への第一歩につながるということを解説した。しかし、最近になって計画どおりに進んでいないスマートシティープロジェクトの事例も出てきている。GoogleのSidewalk Labでは、トロント市の190エーカーの地域をスマートシティー化しようと計画したが、実際に認可が下りたのは12エーカーのみの地区となった。その主な理由は、市民のプライバシーデータの利用への反発からくるもので、人々が生活する街の組織運営に営利企業であるGoogleが深く入り込もうとしたからである。(同社は、2020年5月にこのプロジェクトからの撤退を発表。)このようにスマートシティーのプロジェクトで問題が起こり続ける原因のひとつに、プロジェクトの目標が本来実現すべき目的に対して適切に定義されておらず、本当に市民が必要としているサービスにその焦点が当たってないことが挙げられる。特に重要になるのが、市民の関与(エンゲージメント)と市民への権限譲渡(エンパワーメント)である。自治体のリーダーたちも、スマートシティーを推進するためには市民ファーストで進めることが重要であると気づき始め、市民が地方自治により深く参加することを可能にするイノベーションをシビックテックという言葉で表現するようになってきている。今回のレポートではシビックテックの様々な動きを紹介しながら、テクノロジーがいかに自治体と市民のエンゲージを支援しているかと見ていく。

 

#210 – eSports and Digital Fan Engagement Platforms

世界規模でビデオゲームを使って競技を行うeSports が最近急激な広がりを見せている。“League of Legends” と呼ばれるゲームの世界大会の決勝戦では、1 億人もの人々がその試合の模様を観戦したと言われており、2019 年2 月に開催されたスーパーボウルの視聴者数を上回っている。またFortnite World Cup(サバイゲルシューターゲームの世界大会)では16 歳の少年が優勝し、300 万ドルもの賞金を手にしている。このようなゲームの熱狂を支えるひとつの特徴にdemocratization of participation(参加に関する民主化)があり、インターネット回線さえあれば、体格、性別、文化や居場所を問わず参加できることがあげられる。2021 年までにeSports の視聴者の数は世界で5 億 5000 万⼈規模に拡大すると予測され、それに伴ってスポンサーシップによる収益は大きく増加している。また、eSports の急成長の裏で、既存のプロスポーツも強い人気を博している。Webrainでは、eSportsと既存のプロスポーツがお互いに学び合うことで、より一層ファンを惹きつけて成長していくと考えている。実際、eSports ではデジタルの世界だけではなく、グッズ販売、放映権のライセンス販売、専用アリーナの建設などを通じてファンとの関係性を深めようとしている。このようなマーケティング手法は360 度のファンエンゲージメント(ファンとの強い絆の構築)と表現され、単にファンとプレーヤーを結びつけるだけでなく、ターゲット広告やゲームや視聴の邪魔にならない場所への広告の配置などまで含まれている。今回のレポートでは今後のスポーツテクノロジー市場で、新たなビジネスチャンスの中心となるデジタルのファンエンゲージメント技術に注目をして分析を提供していく。

#209 – Longevity Economy: New Normal for Seniors

 

歳をとることに対する考え方が変化している。これまでの老化に関するイメージは、座りがちな生活や健康上の問題を抱えて生きるというものであったが、今日の高齢者はこの固定観念が急速に時代遅れになろうとしていることを証明している。2050年までに、地球上の100歳以上の高齢者は現在の8倍にあたる360万人になると予測されている。健康的に⻑⽣きすることは、若い状態が⻑続きすることを意味しており、これまでの70代は新しい60代に、これまでの40代は新しい30代に変わっていくのである。日本の沖縄では、島民の2000人に1人が100歳代である。沖縄の人々は「生きがい」を大切にして生活しており、この言葉は「朝起きる理由がある」と解釈されている。結局、世界中の人々にとって長寿とは、労働者、退職者、そして消費者として、より多くのことを楽しむことができるという意味である。このトレンドには、長寿経済、ヘルシー・エイジング、アクティブ・エイジング・テック、エイジテックなど多くの用語が使われており、これらの市場は大きく成長している。ある予測では、世界の高齢者経済が2025年までに27兆ドルに達すると報告されている。驚くことではないが、Apple、Amazon、Googleなどの大手IT企業はすでエイジテックに参入している。あなたの会社がどのような産業にいるとしても、高齢者が社会や経済で果たす役割の変化を理解することは非常に重要である。

#208 – Consumer Empowered Digital Healthcare

 

ヘルスケアは、一生を通じて私たちの生活に密接に絡み合っている点でユニークな産業である。また、迅速で効果的で手頃な価格の治療を求めているデジタル時代の消費者のニーズに応えるために、この産業は絶えず変革を続けている。多くの大手IT企業は、その高度な技術をヘルスケア製品やサービスに応用したいと考え、次々にヘルスケア事業に参入している。例えば、GoogleはFitbitを買収したり、Mayo Clinic(米国の大手総合病院)との提携を発表している。また、Appleはスマートウォッチのヘルスケア機能を拡充させている。さらに、AmazonとMicrosoftもヘルスケア市場の再編に乗り出している。テクノロジーは、遠隔医療などを通じてコストや時間を節約し、消費者(患者)の健康に関する適切な意思決定を支援している。その結果、医師の役割は患者の健康を指揮する立場から患者に寄り添う医療パートナーへと変化している。Webrainでは、この変化をConsumer Empowered Digital Healthcare(コンシューマー主導のデジタルヘルスケア)の幕開けと呼んでいる。そこでは、デジタルトランスフォーメーションがウェアラブルデバイスや医療用IoT(IoMT)デバイスを通じてヘルスケアの可用性、経済性、機能性を再定義している。このヘルスケア産業のデジタルトランスフォーメーションにおいて、あなたの会社はどのような形で消費者(患者)のエンパワーメントに貢献することができるでしょうか。

#207 – Hemp-derived CBD Market

 

法的大麻とCBDは、近年最も急速に変化し複雑化している市場の1つである。州ごとに法律が異なり、多くの場合それらは連邦法と相反するため、生産者と消費者は混沌とした状況の中でこれらの製品の製造、流通、販売、そして消費を行っている。今回のレポートはヘンプ由来のCBD市場の現状に焦点を当てており、同市場がわずか数年で急速に拡大した背景について紹介している。現時点では、FDA(米国食品医薬品局)はクリームなどの製品のみを許可しており、CBDを食品、飲料、サプリメントに添加することは認めていない。絶え間なく変化する市場にもかかわらず、多くの企業がヘンプの栽培や加工に多額の投資を行っており、高まる消費者需要によってKrogerやCVSなどの小売業者はCBD製品を販売している。今回のレポートでは、ヘンプ由来のCBDが長期的に持続可能な市場として確立するために必要な要素について、業界専門家へのインタビューを行っている。CBDが様々な製品に添加される中で、あなたの企業はこの急成長する市場でビジネス機会を見いだすことができるだろうか。

#206 – HR Tech for Change Management Innovation

 

HRは最近まで組織内で最も技術的にサポートされていない部門であった。しかし、現在の人事部門はAIを活用した様々なツールによって、従業員の採用、雇用、トレーニング、管理といったデータ量の多いタスクを効率的に遂行することができる。Deloitte、Gartner、Oracleなどの見解をまとめた今回のレポートでは、1980年代以降にHRテクノロジーがどのように進化して今日のビジネスで重要な役割を担っているかについて紹介している。その中には、業界の専門家であるJosh Bersin氏が人材管理の自動化から、従業員のエンパワーメント、パフォーマンス管理、リーダーシップの向上までのHRテクノロジーの進化をどう定義しているかについての見解なども含まれている。また事例研究では、従業員のパフォーマンスを向上させることを通じて顧客のエクスペリエンスを高める上で、HR技術がどのように活用されているかについて紹介している。組織の他部門と同様に、人事部門もデータを活用することで成長することができる。あなたの企業は、競争の激しい市場で成功するために必要なツールを提供できていますか?

#205 – Blockchain’s New Opportunities

 

ブロックチェーンをビットコインと同じものであると考える人も多い。また、ブロックチェーンはビットコインを支えるために開発された技術に留まらない。ブロックチェーンがもつユニークな構造的特徴は、思いもよらない団体によって意外な形で応用されている。ブロックチェーンを支持する人々は、その構造的な特徴である分散型台帳技術が、信頼の構築・維持を支援するために役立つと主張している。この構造は、データの保護、サービス提供の最適化、成果物の明確化、さらにアカウンタビリティー(説明責任)を担保することも可能にしている。これは、私たちが数年前には想像できなかった用途でこの技術が力を発揮する可能性を意味している。また、もっとも期待が高まっているのは、ブロックチェーンがビジネスだけでなく人道支援の領域でも応用されていることである。今回のレポートでは、ブロックチェーンの新しいアプリケーションと、企業がどのようにこの技術に向かい合うべきかという専門家の意見を紹介している。Webrainでは、次の3つのカテゴリーに分けてブロックチェーン技術を紹介している。それらは、信用を担保しながらコストを削減するためのアプリケーション、あらゆる種類の財産の所有権を安全に移行したり、どんなサイズの取引も安全に処理するためのアプリケーション、そして社会的な問題を解決するためのアプリケーションである。さらに、ブロックチェーンの導入や運用に掛かるコストやブロックチェーンによって削減されるコスト、また消費者反応についても議論している。特殊な状況下でデータを安全に扱う必要性が高まるにつれて、人道支援団体を始めとする多くの団体がブロックチェーンを様々な形で活用する方法を探っている。ブロックチェーンは人類を救うだけでなく、それがもつ効率性と安全性によって利益を追求する企業にも恩恵をもたらすことができるのでしょうか。

#204 – Era of Hyper-personalized Media Delivery

 

NetflixやHuluに代表されるオーバーザトップ(OTT)と呼ばれる市場のプレーヤーは消費者に対して無数のコンテンツを提供している。またDisneyやWarner Bros.などの大手コンテンツ制作会社は、これまで自社の映画や番組をライセンス契約によって他の配信事業者に提供してきたが、最近になって彼らはコンテンツ制作に留まらず、仲介者を排除してその配信を直接消費者に提供することに切り替えている。実際、Disney、Warner、NBCUniversalそしてAppleまでもが相次いでストリーミングサービスへの参入を発表している。ある業界幹部がpeak TV(TVの番組数がこれ以上ないほど多いこと)という言葉を定義したように、ストリーミング市場も間もなく飽和状態に到達するのではないか。この市場感情はThe Tyranny of Choice(選択による支配)を思い出させる。これは、あまりにも選択肢が多いと消費者は選択をすることに対して不快感やストレスを抱くことを意味する。我々は、テクノロジーを活用してこの過剰な選択肢の多さを抑制し、視聴者がいつ、どこで、何をしたいのかを正確に理解できるOTT事業者がこの混沌とした市場を勝ち抜いていくと考えている。Webrainは、この時代を高度にパーソナライズされたメディア配信の時代(Era of Hyper-personalized Media Delivery)と定義している。そこではコンテンツが王様であり続ける一方で、コンテクスト(消費の方法)がカギとなるだろう。

#203 – A Scent for New Intelligence

 

嗅覚は五感の中で最も理解されていない感覚であると指摘されており、匂いは微粒の浮遊分子であるために技術によって模倣することが難しいとされてきた。2012年に、IBMは人間の五感が5年以内にコンピューターによって提供される可能性があるという予測を発表しているが、その期限を過ぎた現在でも匂いを正確に生成し探知するといった技術は確立されたとは言い難い。興味深い機能をもつ嗅覚は、人類の祖先にとって生き残るために重要な能力であり、今日でも私たちの感情と記憶に深く関連している。マーケッターは匂いがもつ可能性を理解しており、嗅覚によるマーケティングが小売店舗の売上を増加させることはデータでも示されている。デジタル嗅覚技術の市場は、2017年に約3,200億ドル規模となり、2026年までに3兆1,200億ドルに到達すると予測されている。この大きな成長は、国防、セキュリティ、医療、食品飲料分野における同技術の応用によって牽引されている。過去のWebrain Reportでは、触覚、味覚、音声(聴覚)、視覚を技術によって模倣することについて紹介してきた。今回のレポートでは最後に残った嗅覚について分析を行い、匂いにおける理解、デジタル嗅覚技術の活用事例、将来的な嗅覚技術の可能性について紹介している。Webrainでは、この新しい動きをA Scent for New Intelligence(新たなインテリジェンスへの手がかり)になると考えている。これによって人間は、より安全で便利な社会を実現するために匂いのデータを分析する能力を身につけ、これまでにない洞察力や知見を獲得できると信じている。

#202 – Plant-base Foods and Clean Meat

 

常に食品は生きていくための必需品であった。しかし我々の祖先が栄養を確保するために狩りをしたり食料を探したりしてきたのと異なり、今日我々は技術を使って食料をより効率的に収穫し、保存し、消費することができるようになっている。ここ最近の食品技術の進歩によって、人類だけでなく地球環境にも優しい食品を商業規模で提供することが可能になってきている。この目標の達成に向けて、食品産業では次の2つのトレンドが起きている。一つは植物を使った新しい食物生産方法である。植物ベースの食品業界は既に長年の経験を蓄積しており、新興の企業がその製品の質や製造プロセスを改良し続けている。もう一つはクリーンミートである。これは遺伝子技術や生物化学の技術を用いてラボの中で細胞から培養される肉のこと指す。クリーンミート業界は植物ベースの食品産業に比べて経験が浅いが、新しい製品を急激に開発しており、この業界のプレーヤーはクリーンミートが将来の食料供給の主力になると期待している。どちらのトレンドも健康的な食生活を望む人の代替食品であり、環境への負担を最小限に抑えるための手段であるという点では共通している。技術がフードチェーンを変革するにつれて、これまで考えてこられなかった手法での新しい製品やサービスの供給が可能となり、ビジネスの成長機会は広がっている。次のあなたの企業のビジネス機会は人々の食卓の中にあるのかもしれない。

#201 – Digital Transformation for Women’s Quality of Life (Femtech)

 

米国においても、それ以外の国々においても女性は大きな消費力を持っている。このShe-Economy(女性経済圏)と呼ばれるトレンドによって、女性が消費の意思決定の中心として注目をされてきている。ただ一部のマーケッターはこの事実を認識していなかったり、軽視してきた過去がある。歴史を振り返ると企業が女性をターゲットにして失敗した事例がいくつも存在しており、ヘルスケアの分野でも被験者が男性中心など、女性特有のニーズは長年に渡って見過ごされてきた。しかし専門家は最近になって変化が起き始めていると分析している。これまで問題視されなかったことが、なぜ今になって注目を集めているのだろうか?そのひとつの理由にテクノロジーの進化がある。女性をターゲットにしたFemtech(フェムテック)の市場は急速に成長し、2025年までに500億ドル規模にまで成長すると予測されている。Webrainではこのトレンドを女性の生活を豊かにするデジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation of Women’s Quality of Life)と名付け、この市場の特有の要素について解説する。

#200 – Beyond Taste as We Know It

 

食品産業では、従来とは異なる手法で食べ物を扱う技術が登場している。その中にはテクノロジーが食べ物の味を測定し複製するというものもある。実際にフードテックの世界市場は 2022 年までに 2,500 億ドル規模にまで成長すると予測されている。しかしなぜ味覚が重要なのか。私たち人間の祖先は、味覚を通して安全な食べ物と害や毒をもつ食べ物を識別する能力によって生き延びてきたと言われている。今日では、人間が自然界で狩猟採集を行うことは少ないが、味覚は私たちの生活をより豊かにする可能性が残っている。健康的な食事よりもジャンクフードを好む人は、肥満や糖尿病などの深刻な病気を患うことがある。物理学者の Richard Feynman 氏は「ナノスケールの領域(Bottom)にはまだ多くの興味深いことが存在している。」と話し、原子のレベルで物質を操作することが可能であると提唱したが、フードテック企業はこの彼の理論を活用していると見られる。試験管の中で動物細胞から食品を培養したり、化学物質を用いてワインの精確なレプリカを製造したりするフードエンジニアリングによって、フードテック企業は味だけでなく価格の面でも米国の中流階級の人々を惹きつけようとしている。

#199 – Faceprint: Power of Convenience

 

今日では顔認識技術(FR)はどこにでも存在しているように思われる。FRの活用には議論を呼ぶものがあり、それはカメラとAI技術がセキュリティーや警察組織に導入される場合である。その一方で、消費者に対して特定のベネフィットを与えることを重視したアプリケーションも増えており、常に混雑する空港の搭乗手続きを効率化するために開発されたシステムもある。Appleは人気商品であるiPhone XのFace ID機能を通じてFRを消費者に提供しており、Google やFacebookも自動で画像内の人物にタグ付けを行う機能にFRを導入している。ただし、米国ではFRに関するプライバシーの問題が背景にあり、多くの人は未だにFRの活用方法(特に政府が監視アプリケーションにFRを用いる場合)に不安を抱いている。しかし、この状況は変化するかもしれない。中国は、国全体としてプライバシーに対してより寛容な姿勢をもっており、早いタイミングで公共の場でのFRアプリケーションの導入を行っている。もしかすると、アメリカや欧州各国は中国との技術競争を優位に進めるために、幅広い商業用のFRを実装しているのかもしれない。FRは精度の向上と価格の低下に伴って、従来の軍事や政府機関での活用を維持しながら、商業向けの実装にも活路を見出していくとWebrainは見ている。FRが個人の顔のユニークな特徴を抽出することで、消費者はより早く、安く、そしてパーソナライズされた形で製品やサービスにアクセス出来るようになる。WebrainはこれをFaceprint – the Power of Convenienceと呼んでいる。ユーザーの顔の情報によってベネフィットや利便性が享受できるように消費者行動が変化するこの時代に、あなたの企業はこの注目の技術を活用する準備はできているだろうか。

#198 – Era of Empathic Marketing

 

マーケティングの意義は、消費者を説得して彼らに特定の行動を取ってもらうことにある。今日のマーケティングのエキスパートたちは多様なデジタルツールを駆使することで、正確にカスタマイズした形で個人を惹きつけ、収益を生み出している。これらのツールの多くは消費者の詳細なデータを収集することに長けており、マーケターが高度にパーソナライズされたメッセージやインセンティブを作成することを可能にしている。しかし、この状況は行き過ぎているかもしれない。2018年の5月にEU(欧州連合)がGDPR(一般データ保護規則)を制定し、企業による消費者の個人データの取り扱いを規制するようになった。これによって、世界最大のデジタルマーケティングプラットフォームとも言われるFacebookなどの技術系最大手企業はデータ収集とその利用において厳しい調査を強いられている。この状況に至った経緯を理解するには、4 Pなどのマーケティングミックスに立ち返る必要がある。マーケティングミックスはマーケティング1.0(製品志向)、マーケティング2.0(顧客志向)、マーケティング3.0(マーケターと消費者の関係構築)そして、現在のマーケティング4.0(テクノロジーへの依存がヒューマンタッチを必要不可欠なものにする)のどの時代でも用いられてきた。私たちは定量的なビッグデータの取り組みがほとんど失敗に終わったことを目にしてきたが、その失敗が質的で厚みのあるデータ(人間の望みやニーズ、感情というコンテクストに基づいたデータ)の台頭をもたらしている。さらに、Contextual Intelligence(状況を理解し判断する知性)は、消費者とのインタラクションにおけるコンテクスト(誰が、何を、どこで、いつ、なぜ、どのように)を与えてくれる。WebrainはこれをEra of Empathic Marketing(寄り添いマーケティングの時代)の登場と見ており、この時代では、技術主導のインタラクションがマーケターと消費者の間に共通の基盤を提供してくれる。デジタルツールをマーケティングに応用することは、今や当たり前の習慣になっている。あなたの企業もデジタルツールを正しく使いこなし、よりリアルに近い顧客との1対1の関係を構築してほしい。

 

 

#197 – Visibility of Things 

 

IoTデバイスと位置情報を組み合わせるといったLoT (Location of Things) はロケーションインテリジェンス市場と呼ばれることもある。LoTを用いたアプリケーションはGPSだけを使った技術よりもより安価により幅広いロケーションに関する情報を収集できるため、LoTによってもたらされるコストカットは何千万もの膨大な数のデバイスやセンサーを配備しようとしている企業を魅了することになる。LoTの重要な要素は「接続性」にある。多くのプレイヤーが独自のネットワークまたは既存の携帯電話インフラを活用したネットワークを用いて一連のソリューションを提供しようとLoTの分野に参入している。位置ベースサービスとIoT、AIクラウドサービスの戦略的な組み合わせは、WebrainがVoT (Visibility of  Things)と呼ぶ新しい分野を生み出している。すべてのアセットの位置や状態を正確に把握し、的確に視覚化することが出来れば、カスタマーの求めるものと企業が実際に提供するもののギャップを埋めることができ、より高いレベルでのサービスや商品を構築できる。今回のレポートではVoTがもたらす新しい市場とその可能性について解説することにする。

#196 – Human-centric Digital Innovation 

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)がグローバルビジネスで熱いトピックの1つとなってきている。人によって様々な理解の仕方があるだろうが、この言葉の中心概念には以下の3つの原則が含まれている。1つ目はITが企業を変えたようにHRの分野においても可能な限りの影響を起こすことで、それは社内でアプリケーションを作ることだけに留まらず、組織内のすべてのヒトの働き方が考慮されることが重要になる。2つ目は企業自体の思考方法が変わることである。これは既存の思考方法がよりイノベイティブなものに替わっていくことを意味する。3つ目は企業に指数関数的な成長を及すことで、企業を次のステージに押し上げることである。デジタルトランスフォーメーションの導入に成功した企業の多くは、競争に勝つための迅速な意思決定モデルを獲得している。WebrainはこれをHuman-centric Digital Innovationと呼んでいる。今日の世界では破壊的なイノベーションはどの産業でも避けられないものであるが、既存の大手企業は新しいスタートアップが市場を奪っていくのをただ見ている必要はない。正しい計画と実行によって、既存の大手企業も破壊者になることは可能で、イノベーションを起こし未来を変えていくことが出来る。このレポートでは様々なケースを中心にこの動きを解説することにする。

#195 – Convergence of Ownerless Mobility

 

消費者は自分で自動車を所有せずにUberのようなライドシェアを好むようになり、交通や移動におけるビジネスモデルは劇的な変化を遂げている。バンクオブアメリカは、私たちが車を所有する時代のピークに到達したと分析をしている。Mobility as a Service (MaaS)によって移動することがサービス化され、多様な交通手段を駆使することで継ぎ目のない形でドアからドアまでユーザーに移動というサービスを提供出来るようになったからである。このレポートでWebrainは、これまでのアメリカでGDPの大半を占めていた自動車産業が、今後どのように新しい技術によって変化し淘汰されていくのかについて解説をしていく。Webrainは、このITによって導かれるトレンドを所有しないモビリティへの収束と呼んでいる。一世代前にパーソナルコンピュータがタイプライター市場を時代遅れにしたような産業の変革に直面しているのは自動車産業だけではない。駐車場、都市開発、金融機関、石油精製所などの交通に少しでも関連する全てのセクターがその影響を受けるだろう。同時にモバイル技術、5G、AI、センサー技術といった新しいソリューションを手掛ける企業はこの新しい時代での存在感を急激に高めていくだろう。この破壊的イノベーションがあなたのいる産業にも影響をあたえるかもしれない。

 

#194 – Digital Olympics: New Moore’s Law for Human Performance

 

韓国のピョンチャンで開催された2018年の冬のオリンピックでは、選手のトレーニングや大会運営、メディア放映の分野で、驚くべき技術の進歩を目の当たりにした。開幕式ではIntelによる1,218台のドローンが複雑に飛び交うパフォーマンスが取り上げられ、また、表舞台からは見えにくいが、スキー競技で用いられたスーツは自動車のエアーバッグのように空気で膨らむようになっており、衝突の際に選手を保護する仕組みになっていた。夏と冬のオリンピックは2年おきに開催されているが、Webrainはオリンピックを支えるテクノロジーが長期的にムーアの法則と類似した発展の仕方を遂げていることに気づいた。しかし、この継続的な進歩はコンピュータのチップ上に起こるのではなく、2年毎にやってくるオリンピックで新たな高みを目指す選手のパフォーマンスや大会運営に表れている。選手、大会運営者、観客を含めたオリンピックに携わるすべての人はデジタルオリンピック、つまりアスリートや運営のパフォーマンス向上に対して新たなムーアの法則が適用されることに支えられおり、次のオリンピックで新たな実績を生みだせるように、継続的な後押しがなされている。このような継続的なパフォーマンスの向上を重視することは、幅広いテクノロジー企業に魅力的なビジネスチャンスを提供するだけでなく、あらゆる企業のエグゼクティブにとっても自社のパフォーマンスを向上させるための参考になるとWebrainは考えている。オリンピックの選手が常にベストのパフォーマンスを発揮するように、今日のビジネスの世界で勝ち残るためには、あなたもチームメンバーのパフォーマンスを最大限に引き出す必要がある。オリンピックのスタジアムでもビジネスのオフィスでも、激しい競争の中での勝負はほんのわずかな差によって決まる。ビジネスにおいて、エグゼクティブはチームの監督としてあらゆる手段を駆使しながら、オリンピックチームに勝るチームを作り上げる必要がある。

#193 – Actionable Farming Intelligence

 

農地は最先端のデジタルテクノロジーが多く投入される場所ではないと一般的には考えられてきたが、実際には農地は最もデジタル化された場所の1つとして急速に注目を集めている。従来のデジタルツールは農業従事者に豊富なデータを与える一方で、本当に有益な情報を提供できていなかった。しかし、いまの農業インテリジェンス(AFI:Actionable Farming Intelligence)の時代では、企業がビジネスインテリジェンス(BI:Business Intelligence)によって利益を得るのと同じ手法で、農業従事者も農業データを活用して利益を得ることができるとWebrainは見ている。BIやデータの可視化、ダッシュボード、予測分析といったデータ活用のコアとなる考え方は、AFIが農場で集められたデータを農作業に直接的なベネフィットをもたらす実用可能なインサイトに変換することを可能にしている。その影響は農地にとどまらず、食品流通業者や卸売業者、加工業者、レストラン、食料品店という食品サプライチェーン全体にまで及び、AFIがもたらすプロセスの改善によって利益を得るだろう。今回のレポートでは、成長するAFI市場を支える新しい技術について紹介する。

#192 – The Responsive City

 

スマートシティとはあらゆる都市機能が完全に1つに繋がり、SF映画のような体験を日常生活にもたらしてくれるデジタル都市のことである。幾つものスマートシティ計画が世界中で行われているが、完全な施行を実現することは現段階では難しい。しかし、その実現に向けた動きはあるようだ。現在、都市プランナーは市民の特定のニーズに応えるというボトムアップの手法でスマートシティの実現を目指している。Webrainはスマートシティは最終形態ではなく、むしろ市民ニーズにリアルタイムで応えて相互連結性を提供するレスポンシブシティの実現に向けた足掛かりであると分析している。リスポンシブシティーの実現を後押しする要因は市場性である。今後20年間でレスポンシブシティは1. 5兆ドルものビジネスを生み出すと推定されている。レスポンシブシティに不可欠なデータを都市全体で共有するために必要なインフラ、センシングネットワーク、データ処理能力を提供する企業は、この1. 5兆ドル市場のシェアを獲得しようとして動いている。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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